禁煙外来とは
禁煙外来は、タバコを今すぐにでも止めたいと考えている喫煙者の方が対象になります。一定の要件を満たしている場合に限り健康保険が適用されますが、その判断というのは初回の診察で医師が行います。なお、要件を満たさないという判断を受けたとしても「自費診療」(全額自己負担)で禁煙治療は受けられます。ちなみに適用か否かを判断する一定の要件とは次の通りです。
健康保険が適用される条件
- ニコチン依存症を診断するテスト(TD)で5点以上
- 35歳以上の方でブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
- すぐに禁煙したいと考えていること
- 禁煙治療を受けることを文章により同意している
※過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある場合、前回の治療の初回診察日から1年が経過しないうちは「自由診療」となります。
喫煙がもたらす身体への影響
喫煙により肺がんなどの発がんリスクが高まることはよく知られてますが、その他にも全身の臓器の健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
タバコを吸うと末梢神経の収縮や血圧の上昇が起こりやすくなり、心臓への負担が大きくなります。また、タバコに含まれる有害物質が悪玉コレステロールの働きを活発化させるため、動脈硬化を引き起こし易くなります。その他、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など動脈硬化性疾患をはじめとした重大な合併症のリスクが高まるため、特に肺機能疾患の方はもちろんのこと、全身疾患の治療やメタボリック症候群や糖尿病からくる合併症の要望として、禁煙は不可欠なのです。
しかしタバコにはニコチンの作用がもたらす脳や身体への快感による身体的依存だけでなく、心理的依存(ホッとする、スッキリするなど)も重なっていることが多いので、禁煙を実践するというのは簡単なことではありません。つまり禁煙が困難なのは、ニコチンのもつ強い依存性が原因であり、これは一種の薬物依存の状態にあります。それゆえニコチン依存症は治療が必要な病気なのです。
治療に関して
禁煙治療を行うにあたっては、患者様のこれまでの喫煙歴をお聞きするなどし、医師が総合的に判断したうえで、禁煙補助薬を処方します。主な処方薬は以下の通りです。なお処方後は経過観察のためにご来院いただきますが、その際に生活指導を含めたアドバイスも適宜行ってまいります。
ニコチンを含まない禁煙補助薬
チャンピックス(飲み薬)
「ニコチン切れ症状」(イライラ感や焦燥感など)を軽減させ、タバコをおいしく感じにくくする効果が期待できます。
服用期間は通常、合計12週間です。途中で服用をやめたりせず、医師の指示どおりに服用を続けてください。
副作用については、吐き気、不眠症、頭痛などが報告されています。このような症状が現れたら速やかに服用を中止して医師へご相談ください。
ニコチンを補給する禁煙補助薬
ニコチンパッチ(貼り薬)
ニコチンを含んだ貼り薬になりますが、医師に処方してもらうタイプと薬局などで購入するタイプがあります。1日1回、上腕や腹部、腰背部などに貼ります。いつも同じ位置に貼るとかぶれることもあるので、かぶれ予防として毎日違う場所に貼るようにしてください。
なお一度に2枚以上は使用しないでください。また貼った状態で、ニコチンガムの使用や喫煙は、吐き気、めまい、腹痛などの症状が起きることがあります。
ニコチンガム
ガムにニコチンが含まれており、薬局・薬店で購入できます。これを噛むと、ガムに含まれたニコチンが口の粘膜を通して血液中に吸収され、禁断症状が緩和されます。正しく使わないと効果が現れないばかりか、逆に副作用を招く可能性もありますので、使用上の注意事項はきちんと守ってください。
なお副作用については、喉などの痛みや刺激感、吐き気や胸やけ、頭痛やめまいなどが報告されています。